委員長の力強い「礼っ!」という声が静かな教室に響きわたると、とたんにあちこちから机と椅子がガタガタ鳴る音がした。やれやれ……やっと学校での長い一日が終わった。 さっさと帰り支度を始めるやつ。雑談するやつ。連れ立って部活にむかうやつ。憂鬱そうな顔してロッカーからモップを取り出してるのは、掃除当番のやつらだ。 解放感に満ちた喧騒のなかで、おれは廊下にぽつねんと立ちぼうけしていた。 鞄の中のテキストやノートを取り出し、いったんまとめてみたり、意味もなく開いてみたり、なんとなく挙動不審ぎみに“ブツ”を待っていた。 上履きが板張りの床を叩くリズムがだんだんと早くなる。 ……まだか? すでに朝から7時間近く待ちぼうけを食わせられてるのだ。 おれの我慢は限界に達していた。 そのとき。 悪友が鞄を肩にひっかけ、なにげない様子で隣の教室から出てくるのが見えた。 来た……! 心臓の鼓動が一段と早くなるなか、おれはノート類を片手で持って、残った手をポケットに入れる。尻の窮屈なポケットのなかで、人肌の温度になった紙幣の感触。 悪友の足取りがゆるやかになり、ちょうどおれの前で止まった。 おれは何気ない仕草で、畳まれた千円札を指に挟んで悪友の胸ポケットに入れる。悪友は流れるような動作で鞄から茶色い紙包みを取り出し、おれの手元にあるノートや教科書の束に突っ込んだ。 この間、わずか2秒フラット。 悪友はいつものような無駄口も叩かずにすっと歩き出し、そのまま下駄箱の方へと消えた。 おれも、いつもであれば鞄に教科書と一緒に“ブツ”を放り込み、さっさと家路につくはずだったが……。 なにしろ、悪友の家の近くでしか売っていない“ブツ”の発売日が昨日だったにも関わらず、色々と手違いがあり手に入らず、それからおれはずっと悶々とし続けてきたのだ。 一刻も早く中をあらためたいという衝動に駆られていた。 きょろきょろ、と周りを見渡すと廊下は人影もまばらとなっていた。 ……これは、大丈夫か? おれは紙包みのセロハンテープを、ぺり、と剥がして封を切る。 新品の本特有のインクの匂いがした。 おれは胸を高鳴らせながらガサガサと袋の中に手を突っ込み……。 『月刊フタナリ 秋の巨根特集号』 ばばーん。 という音もすることなく、ホチキス止めの雑誌を取り出した。 秋らしい暖色系の表紙にはふたなりグラビアアイドルがM字開脚をして、自分の足よりも巨大なペニスを誇示していた。 ふむぅ。 おれはどちらかといえばもう少し常識的なサイズの方が好みなのだが、見て愛でる分にはこれはこれで……ありか? と、ひとくさり感慨にふけってから、いざおちんちん美女ランドの門を開かんと、ぐっと手に力をこめたとき……。 「ば、ばかものぉぉぉぉぉっ!!!」 横からかっさらわれた。 《反省室グラヴィア集》 【一.授業および部活動に関係ない物品を校内に持ち込まないこと】 おれの月刊フタナリ、通称月フタを掲げて、真っ赤な顔をしてそこに立っていたのは、おれのクラスの委員長だった。 くそ、厄介なやつに見つかった……! ご馳走を目の前で奪われたおれは委員長をにらみつけていた。 おでこを開帳したボブカットに、丸メガネの奥には少しとろんとしているがこちらをしっかり見据えるきりっとした瞳。 意志の強そうな太まゆがぴくぴくと吊り上り、きらりと輝くおでこには変な汗が流れている。 「な、なんてものを……なんてものを……!」 わなわな、とセーラー服の肩が震えている。 びしっ、とこちらに向ける糾弾の指先も小刻みに揺れている。 そろそろ肌寒くなってきたのにも関わらずかなりミニなスカート(おれ的にはOK)を押し上げて飛び出したペニスも……って、オイ。 「がっ、学校にこのような本を持って来るなど、は、破廉恥極まりない!」 びしぃっ! ……って、スカートからはみ出るくらい勃起しながらいわれてもなぁ……。 あと、どうでもいいけど玉もはみだしてるぞ。 ……ノーパン? 「……ぼぼぼぼ没収だ、没収!」 まあ、委員長のを生で見れたから今日のネタには困らないが。 おおっ?! 鈴口から我慢汁が吹き出してるし。 それにしてもすごい量だな……おれの月フタ、無事に戻ってくるかな……? 「はぁはぁ……ごくっ……はぁ……。 !……ああっ、そうだぁっ! わたしはこのいかがわしい本が人目に触れない内に即刻処分する義務があるから、人目につかない場所にいかなければならないっ……トイレとか……そ、それでは失礼っ!」 トイレでオナる気かよ。 しかも“処分”って、返さない気満々かよ、ちくしょう。 「?! な、なにをするっ! わたしの職務を邪魔する気か?! くっ、腕をはなせぇっ!」 すごい力だな委員長。 でもな……三日もの間、昼飯をラスクにグレードダウンして買った虎の子なんだよ。そう簡単に横からさらわれてたまるか! 「人聞きの…悪いっ……まるで…わたしが…私物に…するかのような……言い草をっ!」 言い草も…なにもっ…丸々そのつもりだろうがっ!! くそっ! この細身のどこから、こんな力が出てくるんだっ?! いつのまにか、おれと委員長は腕と腕で綱引きをやっていた。 月フタをアメフトの選手がボールを抱えるかのようにキープして、どこかへ姿をくらまそうとする委員長。おれは渾身の力でそれを引きとどめようとするが、上履きのグリップ力が甘いのか、ずるずると委員長に引きずられる形になる。 「は・な・せぇぇぇぇっ!!」 みしみし、というような音が聞こえそうなほどの力を全身にこめ、委員長は一歩一歩ふみだしていく。あたかも北風を真正面から受けながら進む登山家のようだ。 ……まあ、実際のところはエロ本片手にぎんぎんにおっ勃てたチンコを露出させ、トイレに駆け込もうと必死な姿なんだが。 息み過ぎたのか、怒張した委員長のものからぼとぼとと白濁が混じったカウパーがぽたぽたと落ちて、廊下を汚していく。 おい、委員長さま。“廊下はきれいに”だろ?! いい加減おれの腕もパンパンになりそうなんだが、ひとまず落ち着いてチンコをおさめろ! 「?! な、なんのことだっ?! クラスの風紀を守るため日ごろ生まず弛まず精勤しているわたしがこのような猥褻物を陳列している雑誌に劣情を催して尿道球腺液を分泌したとでもいうのか、失敬なぁっ!!」 うるせ、ワイセツ物をもろ出ししてぼたぼた垂らしてるじゃねぇか。おれの上履きの底がしっとりしてきてんだよっ! 小難しい言葉をいっぺんに並べればごまかせると思うな。 「ぐっ……! し、しかしどうしてもこの本を返すことはできないぞ、わたしの立場上っ」 ほう、あくまで返還は拒否するか。 なら……取引をしよう。 「……取引?」 委員長は胸に月フタを抱えて一歩さがり、不審と不安が混じった瞳でこちらを見上げてくる。 先ほどの攻防で額に浮いた汗をぬぐってから、おれはにやりと笑った。 おれの視線の先には、いまだ勃起の収まらない委員長のペニスが断続的にぴくぴくと震えていた。 【二.常に品位を保った行動をし、制服の清潔を心がけること】 「はぁはぁ……」 “反省室”はその名の通り、壊れた時計、曇りガラスのはまった無愛想な扉、厚ぼったい暗幕のカーテンと、まあ気の滅入るようなインテリアが散りばめられている。 その狭くて暗い室内に、悶えるような湿った声が響いていた。 ぺらっ 「はぁはぁ……す、すごいな……世の中にはこんなサイズが存在するのか……」 ぺらん 「なー! 80cmだとぉおー!? なんだこれは……丸太か? 丸太なのか!?」 反省室の椅子に腰掛け、夢中で月刊フタナリのグラビアページをめくりながら、ふんふん鼻息を荒くする委員長。 一方、彼女のペニスは先ほどから硬さを保ったままで、痛くないのかと思わず心配してしまう。 ……それにしても、あっさり堕ちたな……こいつ。 おれが委員長に持ちかけた取引は単純なものだった。 “それやるから、いっしょに見ようぜ” 初めのうちは、 「ば、ば、ばかものっ! わたしはこんなものなんて少しも興味は……!」 とか、 「わたしを買収しようとは、不届き千万なっ!」 などと、無意味な抵抗を続けていたが“没収した物品がどんなものか、取り締まる立場としては審査する必要もあるんじゃないか”と水を向けたところ……、 「ロリ巨根…………じゅっ、○1歳で60cm!? けっ、けしらからん、全くもってけしからん!」 ……この始末だ。 最初こそ、人目につかない場所ということでやってきた反省室の机の上に広げられた月フタを、おれの隣で“こんなもの、まったく興味はないぞ、本当だぞ!”みたいな顔をしながらチラチラと横目で見ているだけだったが、今ではよだれを垂らしそうな顔をして、食い入るようにして読みふけっている。 そうなると、おれが読めないわけなんだが、堅物の委員長がエロ本に興奮して色々と硬くしているという構図は、なんというか新しい世界が開けてきそうな光景ではある。 ……しかし、スカートが少し邪魔だな。 委員長。 それ、脱いでくれないか。 「……ふぇっ?! な、なにをいいだすんだばかものっ!! 男子が見ている前でそんな破廉恥な真似ができるかぁぁぁっ!!!」 ぷしゅー。 と、おでこから湯気がでそうなくらいにして怒鳴る委員長。 破廉恥もなにも、今の状態でも丸出しに近いんだが……。 いや、ほら、委員長のスカートがやむをえない生理現象のせいで汚れそうだからさ。 たしか校則にもあったろ、“制服は清潔に保て”って。 「そ、それもそうだな……これはやむをえないことなんだ、その通りだ」 しっとりとした海綿体にスカートが張り付いて気持ち悪かったのか、委員長はいそいそとスカートを脱ぎ捨てた。 ……こいつ、本当誘惑に弱いな。意志が強そうなのは見た目だけか? 堅苦しい着衣の拘束から解放され、委員長のペニスが何の気兼ねもないかのようにグーンと大きく伸びをした。 やはりスカートの下には何もはいていなかった。 ふと、疑問に思う。 おれの記憶が確かならば、委員長は身だしなみについては校則通りのつまらない格好で通していて、ましてや最近ふたなりの間で流行っている“見せチン”(サイズ的な問題でやむをえずはみ出してしまうのも結構あるらしいが)といった素晴らしいファッションセンスとは最も縁遠い人種であったはずだ。 委員長、こんな逸材を普段どこに隠していたんだ? しかも、ノーパンならなおさら隠しておけないはずだが。 「ノーパンっていうなっ! わたしだって……わたしだって、好きではいていないわけじゃない!」 なら、どういったわけだ。 「うぅ……わたしは、溜まりやすい性質なんだ……。 休み時間の度にトイレで、その…空っぽになるまで出してから、折り曲げて下着の中に収めていたんだ。 今日は特に溜まっていて、授業が終わってからすぐトイレに駆け込んだが……慌てていて汚してしまって、今は鞄のなかだ……」 なるほど。それにしても、そこまでしてわざわざ隠す必要ないだろう。 他のふたなり達は結構平気で露出してるし。 「校内でそんな真似できるか……ばかもの……」 今は下半身すっぽんぽんだけどな。 なにはともあれ余計な障害物がなくなり、委員長のペニスがよく見えるようになった。 充血しきった海綿体に血管が浮き出しぴくぴくと動いている。 30センチは軽く超える風船のような竿は先端に行くほど細くなり、真っ赤な亀頭が露になっている。 かなりの重量を持った肉棒が、ぐぐぐ、と限界まで反りあがって切っ先を天井に向ける。 やはり、リアルふたなりチンポの持つ迫力は違う。 再び月フタに没頭しはじめた委員長を鑑賞しながら、おれは我知らず感嘆のため息を吐いた。 「くっ……か、形ならわたしの方が……ぺら……こ、これはっ!」 どうやら委員長は自分のもののサイズにいささかコンプレックスを持っているらしい。先ほどから、露出した自分のと見比べながらしきりに唸っている。 おれから見れば、十分な質量と迫力を兼ね備えたチンポなんだが。 つーか……。 むしろ、おれとしては委員長のチンポの方が好みだけど? 「う、うあああああぁぁっっ?!」 ばさっ! おれが素直な感想を口にすると、委員長はパニくって月フタを床に放り投げた。 硬くなりきった肉棒の先から何のコントロールも定まらないまま、ぴゅっぴゅっ、と汁が飛んで、開いたまま落ちた雑誌の表紙を濡らした。 ……顔とチンポ、上半身と下半身にそんなに血を集めて平気なのか? おれの心配をよそに、顔を真っ赤にした委員長は奇妙なステップを踏みつつ、勃起した竿をぶんぶか振り回して混乱している。 異性にチンポを褒められるなんて滅多にあることじゃないからな……たしかに。 「そ、そんな、わたしのなんて、萎えているときは10センチぐらいしかないし、勃起したときだって風船みたいに柔らかいし……」 そんなことないぞ。おれは1.5リットル入りペットボトル程度の控えめなサイズの方が好きだ。あと無闇に硬ければいいわけじゃない。アナル初体験で貫通死とかしたくないしな。 混乱でわけのわからなくなってる委員長に対し、きっぱりと断言する。 「そ、そうなのか?」 おれは爽やかに笑いながら、月フタを拾った。 委員長の先走り汁で、すこし表紙が水濡れしてるが、グラビアページが多いせいなのか中までは染みていない。 おれは無造作にページを開いて、委員長の前に差し出す。 ほら、委員長。 このモデルと同じポーズをとってみてくれ。絶対、委員長の方が魅力的だから。 「えっ? あ、ああ」 委員長はいまだに頭がこんがらがってるらしく、椅子からぴょこんと立ち上がると、おれのいうなりにぎこちなく被写体の真似をし始めた。 「えっと……こうか?」 むきだしの尻を床につけ、「ひゃっ?!」、タイル張りの床の冷たさにびくっと身じろぎしつつ体育座りをして、そのままそろそろと足を開いていく。 ……『微開脚体育座り』。 肉付きの薄い委員長の両脚のあいだから、大木のような巨根が聳え立ち、その上端はにわか雨に降られたようにしっとりと濡れている。風に吹かれたかのように、ゆらゆらとゆっくり横に揺れている。絶え間なく血液が送られ、重力に逆らって屹立するふたなりペニスは、人間というミクロコスモスに自然というマクロコスモスが投影された、奇跡のような美しさを演出している。 これがあまりに巨大すぎる場合、超巨根はただ超巨根というだけであって、その存在感ゆえに逆にそれ以上の感銘を観ているものには与えてはくれない。そういう意味で委員長のペニスは盆栽のような、理想的なスケールを保っているのだ。 自然と人間の融合したルネサンス的美観の直下には、精液がぱんぱんに詰まった玉袋が自重に床に押し付けられ、下部がぎゅっとつぶれた卵型になっている。さらに横から両脚に軽く挟まれて、さらなる変形が行われている。 本来ならばふたなりの膨大な精子保有量だからこそ可能な“球体”という完璧なフォルムを持ったふたなり玉袋が微妙に歪められて、それがかえってバロック的な隠微な媚態をかもし出している。 しかも、この芸術的な大作を惜しげもなく放り出しているのが、下半身のみ丸出しでセーラー服だけをまとったうら若き乙女。顔を真っ赤にしてこちらを見上げてきている。 なんという、エロティシズム。 「や、やっぱりおかしいだろう……わたしなんて、クラスでも目立たないし……」 この馬鹿者があっ!! 「ひっ?!」 まだ天より授かったギフトに気づけぬとはこの大馬鹿ふたなり娘めっ、農家の方々に謝れっ!! 次はこれだっ! これをやってみろぉぉぉっ!! 「そ、そんな急かさないで……! ……今やるから」 委員長は体育座りを崩し、よろよろと立ち上がる。 そして前かがみになって、こちらを見上げるような『大丈夫、顔色悪いよ?のポーズ(幼馴染)』をとる。 手をひざに当て、結果的に腕ではさみこむようにして胸を強調するポーズだが、委員長はスレンダーな方なので、あまり意味がない……ように見えるが、否。 断じて、否っ! セーラー服の襟から覗くブラちらと、わずかにふくらんだ胸、そして胸と服のあいだにできた空間は日本的な侘び寂びの趣すら感じさせるフェティシズムだ。 ……たしかに美しい光景だが、本題はそこではない。 もし、委員長が巨乳だったら? 考えるのも恐ろしい。 無粋な脂肪の固まりで遮られ、こちらに銃口のように向けられた亀頭の先が見えなくなるではないか! ふたなりチンポ鑑賞の際にはついつい竿の長さに目が行きがちだが、真っ赤に丸みを帯びた美しい亀頭を愛でることも忘れてはならない。 この熟れきった桃をじっくりと正面から眺めるには、この体勢が一番なのである。 鈴口がぱくぱくと金魚の口のように開閉を繰り返しているのが見える。 収縮にあわせて透明な命の雫が浮かび上がっては地面に滴る様が見える。 その奥に、赤みを帯びた尿道が外から見える。 クラインの壷のように内と外が反転したかのような錯覚に陥る。このまま膀胱まで覗きこめそうだ。 中世の錬金術師は精子のなかに小さな人間を幻視し、さらにその人間のなかに小さな人間、さらにそのなかにといった無限の入れ子構造を夢想したそうだ。精子一滴から世界最後の人間まで妄想できるとは素直に感心だが、おれは今、委員長のペニスにうがたれた一つ穴の奥に無限の可能性を見ているっ! 「そ、そんな真剣な顔で人のおしっこの穴をのぞきこむな……っ!」 しゃがみこみ、顎に手をあて、委員長の亀頭をなめるように鑑賞してると、委員長が震えるような声でいった。 ちらり、と上を向いてみると、目の端に涙まで浮かべている。 制服の端をにぎりしめた両手が、ぎゅっと締まって、白くなっていた。 ……衝撃だった。 そこに、おれのような問題児が多いクラスをまとめるために、常に気を張って、強気で男まさりないつもの委員長の姿は、なかった。 ただ、じっと恥辱に耐え、小鹿のように震えているひとりの少女がいるだけだった。 それも、人一倍自分の身体について悩む、可愛い繊細な性格の……。 その後。 『女豹の構え』、『荒ぶる鷹のポーズ』など、お気に入りの痴態を次々と委員長にリクエストしているおれがいた。 【三.校内外関係なく、不純異性交遊は認めない】 真っ黒な厚ぼったいカーテンのせいで外の様子はまったくわからないが、たぶんそろそろ日も落ちたころだろう。 外界から隔絶された反省室のなかには、顔一面に“満足”といった表情を浮かべているおれと、ぐったりと床に仰向けに横たわる委員長がいた。 相変わらず委員長は上だけセーラー服を着て、下は上履きと靴下のほかにはなにも身に着けていないという、多分に服装規定違反な格好だ。 僅差でワールドカップ出場を逃したサッカー選手よろしく天を仰いでいるが、下で丸出しになっているチンポも未だ力強く天を突いてそそり立ったままだ。 「うう……もうお嫁にいけない……」 意外とかわいいことをステレオタイプに口にしつつ、しくしくと泣いている委員長の前で……。 おれはズボンのベルトに手をかけていた。 「んなっ?! なっ、なにをしている?!!」 ズボンを脱いでいるんだが……それがなにか? 「“なにか”じゃないっ! 異性の前でズボンを脱ぐなど言語道断だ!!」 委員長だって丸出しじゃないか。 「これは……その、制服を汚さないため……だから」 おれもそうだ。 じつは、さっきからおれの息子も大変なことになってるんだ。 「な、なにぃ?! って、まてまてまてまてっ!!」 委員長の制止を無視して、おれはズボンとトランクスをずり下ろした。 そして、顔を両手で隠しつつも、指のあいだからしっかり見てる委員長。 「!!! ……! ……そ、それは、ぼ、勃起しているのか?」 悪かったな。 これでも男子では大きい方だ、この野郎。 「いや、べつに貶しているわけではないが、その、いや、愛らしいと……思うぞ」 頬を真っ赤にした委員長はちらちらと自分のと見比べながら、ぼそぼそという。 羞恥が半分以上のところに興奮と好奇心が多分に入り混じり、わずかな優越感の混じった複雑な表情をしてる。 ……まあ、ふたなり相手にチンポの大きさで勝てるとは思ってないさ。月フタを悪友から定期購読してるからな。 とりあえず、鼻息がかかるくらい近くでおれの股間を眺めてる委員長よ、こっち向け。 「…ふぅー…ふぅー……えっ? な、なんだ?」 おれのチンコにどうやら興味津々なようだが、硬さについても知りたくはないかね。 「は?」 それについてですが、お互いのものを擦り付けて硬さ比べするのがベストな方法かと思います。 「ば……」 ば? 「ばかものぉぉぉぉっ?!!! いままでの狼藉は大目に見てきたが、今の発言ばかりは看過できんぞっ!!」 なんでだよ。 「ふ、不純異性交遊はっ、校則違反の王様だ!!」 はっはっは。 馬鹿だなあ委員長。 異性が不純に交わるというのはチンコがマ○コにごっつんこすることだぞ? チンコ同士なら、なにも……問題などないっ! 「そ……うなのか?」 そうだ。問題ない。 「でも…好きでもない相手と、そんなことをするなんて……いけないこと…だ」 好きだ。問題ない。 「っ?! なにっ…げほげほっ!…いきなりっっ!? こ、こらっ、そんな真剣な瞳をするな! そんな眼で見られると、わたしは……」 もじもじと視線をそらす委員長。剥き出しのペニスがぴくぴくと反り返ってる。 真剣に見つめるおれ。同じく、下真っ裸で股間をガチガチにしている。 この不思議空間に突っ込む野暮な第三者などいないので、そのまま時が過ぎていく。 時計の秒針が一周した。 短針、長針ともに壊れてるので、時計の盤面は変わらない。 おれは委員長に視線を固定したままで、委員長も横を向いたまま勃起した亀頭の先だけをこちらに向けたまま動かない。 まるで、本当に時が止まったようだった。 おれは委員長の肩に手を置いた。 「……!」 小さな肩がびくりと震えて全身に緊張が走ったのが、まさしく手に取るようにわかった。 委員長がおずおずとこちらを向く。 片手をそっと鼻先へと持っていき、委員長のメガネを外した。 そのまま顔を近づける。 今度は、拒絶はなかった。 「ん……!」 自然にお互い抱き合うような格好になる。 委員長のなだらかに隆起している乳房が押し付けられる。 そして、熱く灼けた肉棒同士が互いに押し付けられた。 「ふ…ぅんっ…!」 ぎゅっと眼をつぶったままの委員長が、こそばゆそうに腰を動かした。 そのまま、おれはゆっくり力をこめて、やさしく床に委員長を押し倒す。 おれたちの陰茎は反り返りきって、裏面同士がくっついていた状態だ。 委員長のペニスの直径はおれのものの2倍は優にあるが、彼女の申告どおりかなりやわらかく、海綿体の名の通りスポンジのような感触である。 おれのガチガチに硬くなった陰茎が、委員長の海綿体に半ば埋没している。 「う…ぁ……硬い……」 委員長が熱に浮かされたような声をあげた。 おれは腰を浮かし、前後に動き始める。 委員長の玉をペニスで突くと、精液がたっぷり詰まった袋がぷるんと震えた。そのままカリのあいだを、硬くなり熱を持ったおれの亀頭でなぞっていく。 「はぁ…ん…! んんんっ……!!」 すでに委員長の陰茎はカウパーで全体的に濡れていて、おれのものと混じって人肌に温められたローションの役目を果たして、すべりが異様にいい。 互いの体温を貪欲に交換しながら摩擦を繰り返し、おれたちの局部は火傷しそうなぐらい熱い。 委員長は額に玉のような汗を浮かばせて、はぁはぁと盛んに息を荒くしている。おでこにキスをすると委員長の身体がきゅっと縮み、連動しておれのペニスを包んでいる巨大な海綿体が、ぐぐっ、と収縮した。 陰部の柔い肉布団にペニスを挟まれ、おれはグラインドしてるだけでイッてしまいそうになる。 ぐちゅ…にちゅっ…と、淫靡な音が反省室に響き、おれたちのあえぎ声がそれに混じる。 「ひゃううううっ?!! な、なんか、くるぅぅぅっ?!!」 亀頭で委員長の裏筋をひっかいた瞬間、彼女は悲鳴をあげた。 おれの陰茎が、内側から押し上げられた。 委員長の精管を熱いパトスが迸ってくるのが、はっきりと感じられていく。 「んんんーーーっ、でちゃううううううううううぅぅっっ?!!」 ぶるり、と排尿寸前にも似た震えをしたかと思うと、委員長のペニスの先から滝のような量の白濁が飛び出した。 どぶっ、びちゃびちゃびちゃっ……! 噴射したザーメンは制服を一直線に汚しただけでは収まらず、おれたちの顔まで到達した。 ちょうど委員長の首筋にキスをしていたおれの舌に、なんともいえない味が広がった。 その瞬間、おれもイッた。 「あ、熱いのがわたしのおちんちんにぃぃぃぃぃっ!!!」 委員長の芸術的なフォルムをした海綿体を、亀頭をおれの精液で白く染め上げていく。 互いに激しい息をしながら、鼻先や顎からは委員長のスペルマを滴らせ、見つめあう。 「す、すまない……。 劣情に負けて男子の顔にかけてしまうなんて……わたしは委員長失格だっ!」 射精したことにより熱狂的な興奮が少し冷めてきたらしい。 瞳をうるませて、自分のザーメンでべとべとになったおれの頬にそっと手をあててくる。 ……なんか、また硬くなってきた。 なあ、委員長。 「ぐすっ……なんだ?」 委員長のチンポをおれの肛門に挿入してみないか。 「ぶふぅぅぅっ?!!」 あ、鼻汁噴いた。すこしザーメン混じってるし。 「な…な、なっ、なぁぁあぁっ?!!」 いや、今日はおれのリクエストに答えてよく働いてくれた委員長のチンポの労をねぎらってやろうかと思うんだが。 「ばっ、ばかものっ! お、男のくせになにをいっているんだ!!」 うーん、委員長のなら、別にいいかな、なんて思うんだが。 ……それに、そういってる間にも委員長もバキバキに硬くしてるし……。血管切れちまいそうだぞ? 「こ、これは……そのっ……! でもっ……さすがに……不純異性交遊だし……」 まだ、そんなことで悩んでいたのか……? ……なあ委員長、考えてみようぜ。 ペニスは男性、ヴァギナは女性、さてアナルは? 肛門は男女共通だ。つまり異性の交りではない。ノーカンだ。 ……だろ? 「う、うん、それもそうだっ、そうだなっ、そうに違いないなっ」 ! うお。 あぐっ。 いきなり。 かよ。 ……ほんとに、誘惑に弱いやつ。 だがおれの下で真っ赤な顔をしながらも、快感に腰を必死で動かす委員長の姿がなんだか無性に可愛くて、何もいえなかった。 【四.18時以降は、女生徒の一人での下校は避けること】 おい、委員長。 「なっ、なにかね?」 あまり、ひっつくなって。歩きづらいから。 「これはだな、その、下校時の安全確保のために必要なことであって……べ、べつに他意などはないのだからなっ!」 そうかい。 まったく関係ない話だけどさ、おれの足に硬いものが押しつけられてるんだけど、これはなんだろうね? 「ば、ばかもの……っ!」 (終) |